ビッグバンドジャズをよく聴く自分には、まず、これトランペットなの？っていう驚きが。トロンボーンかと思うほどに芯が太い。フリューゲルかと思うほどにやわらかくてあったかい。トランペットの魅力にはまりそうな1枚。４曲目の「Everything」は、MISIAのあの曲のカバーです。原曲はMISIAのストレートで力強い張りのあるボーカルが印象的でした。このカバーのトランペットの音色は、優しくソフトで、それでいて説得力がある。ほのぼのとした中に、濃い存在感がある。縁側の日だまりで寄り添ってお茶をすする老父夫婦、そんなイメージです。９曲目は、美空ひばりの「川の流れのように」のカバー。アレンジは全く別物にもかかわらず、しみじみとさせるのに明るく前向き雰囲気が変わらないのは不思議。不朽のメロディ。歌謡曲の中の歌謡曲。もちろん、すごいのはカバー曲だけじゃないです。３曲目「Charles Tone」はレギュラーバンドならではのスリリングな曲。５曲目「Quick Solution」の多田誠司のソロ、テナーサックスのようなパワフルなブロウ。11曲目「The Forest Giant」は、曲名のイメージそのもの。静かで、幽玄。深山の冷涼な滝のミストを感じます。